ハローハローバンドン博士になろう
小学部3・4年 総合的な学習   
指導者 井上実由紀  

 3・4年生の総合的な学習では、前回の西ジャワ州博物館の見学の際に、「 ハローハローバンドン 」の歌詞の内容を知りました。そこから、『 ハローハローバンドンが作られた時代のバンドンの様子や、そのときの人々の気持はどうだったのだろう 』という課題が浮び上りました。そこで、3・4年生は、そのころのことを教えてもらうために、バンドンに住む、ソルミンご夫妻を訪ねてお話をうかがってきました。

※注1 文中の「バパ」「イブ」は、
                「Bapak=おじさん、目上の男性に対する敬称」
                「Ibu=おばさん、目上の女性に対する敬称」                 です。





当時のお話をうかがいに、バンドン在住のソルミンさんの御宅を訪問しました。

 当時の様子を語ってくださったソルミンさん(85歳)

「昔のバンドゥンは、森や林が豊かな、とてもきれいな街じゃった。」
「周りは、田んぼだらけじゃったよ。」
「昔のバンドゥンは、北と南に大きく分かれていたんじゃよ。」
「戦争中、ワシは日本人兵に、日本語の歌を教えてもらった。」

 ソルミンさんは、元インドネシア軍人で、インドネシア独立戦争当時、兵士として戦った方です。インドネシアの独立戦争は、インドネシア国民にとって誇らしい歴史事実ですが、「戦争」であることに変わりありません。当然、その中で戦死した兵士、民間人も多くいます。そのため、この
当時の話を話してくれるお年寄りはなかなかいません。

 それにも関わらず、ソルミンさんは、私たちのお願いを快く引き受けてくださり、私たちの質問に、丁寧に答えてくださいました。


 ソルミンさんの御宅で、私たちは用意した質問をインドネシア語で聞きました。

「ラウタンアピ(火の海)の前、バンドンはどんな町だったんですか」
「その頃の人々の暮らしはどのような様子だったのですか」
「昔のバンドンにはどのくらいの人が住んでいたのですか」
「ラウタンアピのとき、どんなことがあったんですか」

 3年生は、今年の4月からインドネシア語を授業で習い始めたばかり。事前に、何を質問するか考え、これをインドネシア語に訳して練習しました。インドネシア語の先生や、それぞれの児童の家庭で働くメイドさんたちに聞いてもらい、正しく言えているかどうか確認しました。
 でも、いざ、本番で質問するとなると、とても緊張しました。ソルミンさんの御宅に向かう車の中は、普段の授業や校外学習と比べ物にならないくらいの緊張でした。


 事前の学習や、ソルミンさんご夫妻に色々な質問をするなかで、バンドンに住む人々が街に火を放ったラウタンアピの前には、日本がインドネシアを占領していたことを知りました。

 これまで、私たちは、日本が戦争をしたことは知っていましたが、インドネシアまでやってきていたことや、そこでどんなことをしたのかは知りませんでした。その当時のバンドンの人たちは、それまで日本人を見たことがなかったので、はじめて見たときには少し怖かったそうです。

 また、ラウタンアピは、戦争がようやく終わって日本軍がいなくなった後に、今度はまたオランダ軍が街を占領しようとしたことに対しておこなわれたことを知りました。




 たとえ、外国人から自分たちの故郷を守るためとはいえ、自分たちが愛する街に火を放ったときの、バンドンの人々の気持ちを考えると、とてもつらかっただろうなと思います。

 ハローハロー・バンドンは、明るい感じのする曲ですが、実は、そこに
込められているバンドンの人々の色々な気持ちを、この学習を通して知ることができました。



 訪問のしめくくりに、僕たちは、感謝の思いを込めて、

       
 「ハロー・ハロー・バンドン」「ビリーブ」

を歌いました。ビリーブは、日本の合唱でもよく歌われる曲です。この歌に込められた

  
 「悲しみや苦しみが、いつの日か喜びに変わるだろう」
   「未来を信じて僕たちはみんなで支えあっていこう」


という思いを、インドネシアの人々にもわかってもらおうと、色々な人の助けを借りながらインドネシア語に訳しました。

 この2曲を、お二人の前で心を込めて歌い、今回の訪問学習をしめくくりました。


学習のまとめ
*学習を通して自分が成長したこと
(4年 こうへい)
 ◎自分で課題を作ってインタビューできた
 ◎進んで人にインタビューできた
 ◎インドネシア語に自分でなおして、自信をもってインタビューできた
 ◎自分の心からの感想をかけた
 ◎一人一人ががんばって力をあわせるといい勉強ができることがわかった


(4年 りょうた)
 ◎難しいインドネシア語を上手に言えるようになった
 ◎自分たちでインタビューするのは大変だったが、自分たちの力で頑張ろうという意欲がでてきた
 ◎ハロハロバンドンのことを勉強して、「調べたい」という気持ちから、最後まで頑張ることができた
 ◎ここまで勉強して、みんなで協力すると、色々なことができるんだなあと思った
 ◎学習発表会の練習は辛かったけど、成功して、達成感があった
 
◎調べる学習だけでなく、普段から色々な疑問がわくようになった

(4年 みつひろ)
 ◎発表をがんばった
 ◎質問できました
 ◎イブにインドネシア語で質問できた
 ◎ハロハロバンドンの日本語訳ができた
 ◎どんな気持ちで燃やしたかがわかりました

(3年 ひろあ)
 1,初めて自分でインドネシア語でメイドさんに質問できた
 2,初めて自分たちの力で勉強できた
 3,いつもハロハロバンドンの事を気にしていなかったが、もっと調べたい気持ちになった。
 4,初めてインドネシア語を日本語に訳して、歌詞の意味を知ることが出来た
 5,自分の心を素直に人に伝えられるようになった
 6,自分達で勉強を進める力がついた
 7,自分から挑戦しようと思えるようになった。(前は恥ずかしくてきけないこともあった)


(3年 シェリー)

 1,初めて自分から進んで色々な人にインタビューができた
 2,先生にインタビューした答えを言うときドキドキしていた
 3,みんなの前で発表するとき、緊張していたが、発表になれてきて、自信をもって堂々と言えるようになった
 4,自分の思っていることを言えるようになった
 5,自分たちで、勉強を進める力がついた
 6,先生に教えて貰う勉強でなく、自分達で、進んで勉強ができた
 7,自分で課題や質問を考えられるようになった


(3年 そうし)
 1,みんなで課題や質問を作っているうちに自分で疑問に思えるようになった
 2,自分から進んで「勉強をしたい」と言えるようになった
 3,自分で質問や課題を作れるようになった


*感想

(こうへい)
 ぼくはこの勉強でお手伝いさんや運転手さんにラウタンアピについて質問しました。たくさんの方々に協力して貰ってハロハロバンドンについて色々なことがわかりました。

(りょうた)
 僕が今までラウタンアピ事件の事を調べてきて、たくさんの人にインタビューをしてきました。特にイブとバパは体験したことを教えてくれました。協力してくれた、お手伝いさん、先生、お母さん方、ありがとうございました。

(みつひろ)
 イブとバパに質問したことがとても楽しかったです。これからもハロハロバンドンの勉強をがんばります。



(ひろあ)
 私は、ババとイブはラウタンアピを乗り越えて、今も元気に生きていることがすごいと思いました。自分の家を燃やすのは、つらかったんだと思います。

(シェリー)
 私はイブとババに会えてとても嬉しかったです私達が勉強したいと言っていなかったら、イブとバパに会えることはなく、本当のことが、わからないままでいたと思います。私は今まで気づいていなかったことがありました。それは、わたしたちの周りの人のおかげで、色々な勉強が出来ていると言うことです。ご協力ありがとうございました。

(そうし)
 僕はバパとイブに会って、ハロハロバンドンは博士に、一歩近づいたんじゃないかなと思いました。バパとイブに会っていなかったら、課題や質問の本当の答えが、わかっていませんでした。ラウタンアピを経験した人に、会えたことと、その時実際にあったことを教えてもたえたのが、とても嬉しかったです。

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