2007年 児童生徒 学習内容の紹介
学年・領域 取り組みの内容
小学校3・4年生 総合的な学習 西ジャワ州博物館 訪問学習
小学校3年理科 身の回りの植物を調べよう!
小学校3・4年生 総合的な学習 ハローハローバンドン博士になろう!




小学校3・4年 総合的な学習の時間 1 2007年5月〜6月
『インドネシアの伝統芸能について調べよう!』
3年生:  シェリー  創史  広亜
4年生:
  涼太  康平  三裕







指導者 井上実由紀 小村孝広

 今年の総合的な学習では、『インドネシアの文化』をテーマに調べ学習を進めています。その中で、まずはじめに、インドネシアの伝統的な人形劇や、有名な楽器であるガムランについて、バンドン市内にある「西ジャワ州博物館」に行って調べてきました。

☆インドネシアの人形劇
 インドネシアには、色々なタイプの人形劇があります。有名なものとしては、

 「ワヤン・クリッ」(写真上左)
 「ワヤン・ゴレッ」(写真上右)
 「ワヤン・ベベッ」(写真下)
 「ワヤン・チェパッ」(写真なし)
                      があります。


@ワヤン・クリッ(ジャワ)
 紙や牛の皮を乾燥させたものが材料になります。薄く、硬く乾燥させた牛の皮から、写真のようなかたちの人形を切り抜きます。さらに、その表面に細かな切れ込みをいれて装飾します。さらに、これに色々な色をのせて人形を完成させます。出来上がった人形は、平らなものになります。腕などの関節が動くようになっています。
 人形劇では、これを使って『影絵』で物語を演じます。代表的なお話は、『ラーマヤナ』という王子のお話です。

Aワヤン・ゴレッ(スンダ)
 こちらは、先ほどの『クリッ』とはちがって、立体的な人形です。主に木を材料として使っています。こちらは、影絵ではなく、人形劇として演じられます。人形を作るのに、1ヶ月ほどかかるそうです。

Bワヤン・ベベッ
 ワヤン・ベベッは、ちょうど日本の紙芝居のようなものです。ただし、ワヤン・ベベッでは紙ではなく、布に絵を描いて劇を演じます。

Cワヤン・チェパッ
 ワヤン・チェパッは、Aのワヤン・ゴレッの人形を小さくしたものでおこなう劇です。ワヤン・チェパッでは人形の帽子がぺしゃんこにつぶれたかたちになっています。



 このような、「ワヤン」では、宗教をもとにしたお話や、その地域に昔から伝わる伝説についてのお話、実際に、昔あったことについてのお話などが演じられるそうです。また、ワヤン・クリッは、昔、戦争のときに人を集めるために演じられたりもしたそうです。これらのお話は、1つのお話で8時間もかかるものがあるそうです。

☆インドネシアの伝統音楽
 バンドン日本人学校では、去年の学習発表会で、3年生以上の生徒全員でガムランの演奏をおこないました。ガムランは、インドネシアの伝統的な打楽器です。西ジャワ州博物館で、ガムランのことについても調べてきました。

@作り方

 ガムランを作っている人たちは、普段は刃物などを作る鍛治屋さんです。ガムランは鉄の固まりを加熱し、これを打ち伸ばして形を作って行きます。
 『楽器』となる鉄製の部分と、それを置く『台』となる木製の部分は、異なる職人によって作られます。1セットのガムランを作るのに、6ヶ月もかかるそうです。時間をかけて作ったガムランの『台』には、とても素晴らしい彫刻が入れられます。

A歴史

 ガムランの歴史は、「王様のための音楽(=宮廷音楽)」が、その始まりです。その後、たくさんの人々の前で演奏されるようになり、主に、結婚式等のお祝いの席や、民族舞踊、ワヤン(人形劇)の舞台効果のひとつとしても使われています。
 ガムランは、スンダ地方(バンドンのある西ジャワ州)だけでなく、インドネシア全土で広く親しまれる楽器です。最も大きなガムランオーケストラでは、13種類のガムランを使用します。
 ほとんどの場合、演奏するのは男の人です。

Bガムランの種類

 ガムランは、全部で13種類あり、最も大きなガムランは『ゴーオン』と呼ばれます。『ゴーオン』は、直径1mほどの「ドラ」に似た形のガムランで、スタンドに吊るして使います。
 叩くと、低い「ごぉぉぉぉぉぉん…」という音が、長く続きます。普通、ゴーオンは直径のちがう2種類のものを使い、交互に鳴らします。この音が、曲全体のなかで「大太鼓」の役目と「ベース」の役目を果たします。

 『ボナン』は、なべをひっくり返したようなかたちをしています。ガムランのオーケストラの中心部分の音とリズムを演奏する、とても大切な楽器です。ゴーオンほど長くひびく音ではなく、一定のリズムで曲のベースラインを演奏します。ガムランの曲は、ボナンのきっかけで始まり、ボナンの合図で終わるものが多くあり、大変重要な楽器です。

 サロンは、小さなものから大きなものまで何種類かがあり、大きなものはベース部分を、小さなものはメロディーを演奏します。形は鉄筋に似ていいますが、トンカチのような木製の木槌で叩きます。

 ガムランの曲には、歌があるものが多く、ガムラン・オーケストラの奏でるゆったりした曲に、スンダ語の歌がのせられます。

  ゴーオン

    ボナン

    サロン

☆その他に学んだこと
 バンドン市民の間で広く歌われる歌に、「ハロ・ハロ・バンドン」という歌があります。この歌は、アップテンポの明るいメロディーで、私たちも入学式などの行事のときによくうたう歌です。これは、太平洋戦争終了後、再びバンドンにオランダ軍が攻め込んできた時に、人々が、それまで住んでいた愛すべきふるさとバンドンに火を放ち、「絶対にまたここに戻ってきて街をとりかえす」と誓ってバンドンを離れたときのことを歌ったものです。

ハローハロー バンドゥン
プリアンガンの首都よ
ハローハロー バンドゥン
思い出の街よ
長くおまえと私は会えない
今は、火の海だが
いざ、おまえを取り戻すまで
 この歌は、バンドンに住んでいた人々が街に火を放って逃げるときのことを歌っているのに、メロディーが明るいアップテンポなのはなぜなのか、不思議に思って聞いてみました。すると、この歌は、

      「 今は、火を放って逃げるのだけれど、必ず取り返してみせるという気持ちがこもっているので、
        再び、私たちがバンドンに戻ってくるという決意を表すのに、明るく勇ましい曲になりました。 」

と、教えてもらいました。


訪問後の感想

<4年みつひろ>
 ガムランは鉄で作って、熱いうちにとんかちでつくります。鉄で、ガムランの他にもいろいろ作ります。それがわかってうれしかったです。

<4年りょうた>
 ぼくは、博物館のおじさんからハロハロバンドンのことをきいてびっくりしたことが多く、その中でも一番びっくりしたのは戦争から守るために自分たちの町をもやしたことです。他にも、結婚式の衣装は宗教や、場所によって、種類がちがうということがわかりました。

<4年こうへい>
 ぼくが、西ジャワ博物館に行って心に残ったことは、昔のスンダの結婚式についてです。宗教や、場所によって、つけるかざりや、衣装がちがいます。本物の衣装をみて、なぜ、こんなにかざりをつけるのかな、と思いました。だれが作ったのか、調べてみたいです。

<3年ひろあ>
 わたしが西ジャワ博物館で心にのこった事は、ハロハロバンドンの歴史です。日本も戦争に惨禍していたことを博物館のおじさんに聞いて、びっくりしました。バンドンの人は自分の大切な町バンドンを火の海にしてまでまもろうと思ったことがわかりました。とても広い町を火の海にしたバンドンの人たちはかなしかったと思います。なので火の海にしてからどうやって家を建てたり、今のバンドンにしたかを知りたいです。

<3年シェリー>
 わたしが西ジャワ博物館で心にのこったことは女の人があせをかきながらバティックを作っているところです。昔はあまりべんりなものがなかったけど、工夫してつくっていて、すごいなとおもいました。
 あと、ハロハロバンドンのうたはバンドンをもやしてしまってかなしいはずなのに、明るい音楽になっていて、不思議だとおもっていましたが、敵がせめてこなくなって、うれしい気持ちもふくまれているんだということがわかりました。新しく色々なことをしれてよかったです。

<3年そうし>
 ぼくが、一番心にのこったことは、ワヤンが戦争の時に人を集めるのに使われていたということです。こういう人形まで、戦争に関係していたことがびっくりしました。


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